ゴルフの世界では、特有の用語が数多く使われています。その由来を知ることで、ゴルフの歴史や文化を深く理解でき、ラウンド中の会話がより楽しくなります。この記事では、五十音順にゴルフ用語を紹介し、その語源やエピソードを掘り下げて解説します。
あ行
アドレス
意味: ボールを打つ準備として構えること。
語源: 英語の「address」。もともとは「話しかける、向き合う」という意味で、ゴルフではクラブとボールを向き合わせる行為を指します。
アプローチ
意味: グリーン近くからピンに寄せるショット。
語源: 英語の「approach(近づく)」。ゴルフ以外にも広く使われる言葉です。
アルバトロス(Albatross)
意味: 規定打数より3打少ないスコア。
語源: アルバトロスは「アホウドリ」という海鳥で、その巨大さと優雅さから「非常に稀で素晴らしいもの」の象徴とされています。
特にイギリスで使用され始めた言葉で、極めて珍しいスコアを指す名称としてふさわしいとされました。
アンプレアブル
意味: ボールがプレー不可能な状態であることを宣言するルール。1打罰を付加することで、以下のいずれかの処置を行えます。
・直前にボールを打った地点に戻る
・ラテラル救済エリア(ボールから2クラブレングス以内)にドロップ
・ホールとボールを結んだ後方線上にドロップ
アンプレアブルはスイングや脱出が難しい状況など、ペナルティエリアを除いてどこででも宣言が認められています。
語源: 「unplayable(プレーできない)」に由来。
アーメンコーナー(Amen Corner)
意味:マスターズ・トーナメントが行われる「オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ」の中で、11番ホール、12番ホール、13番ホールを指します。このエリアは風が読みづらく難易度が高いため、試合の命運が決まることが多い場所です。
語源:ゴルフライターのハーバート・ウォーレン・ウィンドが1958年に命名しました。ジャズ曲「シャウティング・イン・ザ・アーメン・コーナー」から取られたと言われています。この難所でプレイヤーが「アーメン(祈り)」のような気持ちでプレーすることから名付けられました。
イーグル(Eagle)
意味: 規定打数より2打少ないスコア。
語源: 「バーディ(birdie)」よりもさらに優れたスコアを示すため、より大きく力強い鳥である「イーグル(ワシ)」が選ばれました。
アメリカでバーディが広まった後、次のランクを表現するために採用され、ゴルフ用語として普及しました。
か行
カップ
意味: ホールの目標地点。
語源: 英語の「cup(カップ)」。その形状が飲み物を入れるカップに似ていることから名付けられました。
キャディ
意味: ゴルフプレイヤーをサポートする役割。
語源: フランス語の「cadet(若い兵士)」が語源で、後にスコットランドで現在の意味になりました。
キャリー(Carry)
意味:ボールが地面に着地するまでの飛距離のことを指します。ラン(地面を転がる距離)を含まない、空中にある間の距離です。
語源:英語の「Carry(運ぶ)」からきています。ボールが空中を運ばれるイメージが由来です。
クラブ
意味: ボールを打つための道具。
語源: 英語の「club(棍棒)」から転じています。
コンドル(Condor)
意味: 規定打数より4打少ないスコア。
(例:パー5のホールを1打でカップイン)
語源: コンドルは南米に生息する大型の鳥で、「アルバトロス」よりさらに稀で壮大なイメージを持つことから名付けられました。
実際にコンドルを達成した例は非常に少なく、伝説的なスコアとされています。
さ行
サンドウェッジ
意味: バンカーショットなど砂地で使うクラブ。
語源: 「sand(砂)」+「wedge(くさび)」の組み合わせ。
スイング
意味: クラブを振る動作。
語源: 英語の「swing(揺れる、振る)」がそのまま使われています。
スクランブリング(Scrambling)
意味:パーオンできなかったホールで、パーをセーブする技術や成功率を指します。アプローチショットやパッティングの技術が重要となる場面です。
語源:英語の「Scramble(ごちゃごちゃにする、急いで何とかする)」に由来します。ピンチを乗り越える状況を表現しています。
スコア
意味: ラウンド中の成績を数値化したもの。
語源: ラテン語の「scoria(刻む)」が起源とされます。
スティンプメーター(Stimpmeter)
意味:グリーンの速さを測定する道具の名前。ボールがどれだけ転がるかを測るために使用されます。
語源:エドワード・スティンプソンというゴルファーが発明した道具で、彼の名前にちなんで名付けられました。
た行
ティー
意味: 最初のショット時にボールを乗せる台。
語源: スコットランド語の「teaz」(小さな台)から派生したとされています。
ドライバー
意味: 長距離ショット用のクラブ。
語源: 英語の「drive(打ち出す)」に由来。
ドロー(Draw)
意味: 右利きの場合、左に軽く曲がるショット。
語源:「Draw(引き寄せる)」という英語の単語からきています。それぞれ、ボールの飛び方がイメージに合うため名付けられました。
ダフ
意味: ミスショットで地面を叩いてしまうこと。
語源: スコットランド語の「duff(失敗)」からきています。
な行
ナイスショット
意味: うまく打てたショットを称える言葉。
語源: 英語の「nice(素晴らしい)」+「shot(ショット)」。
ニアピン
意味: ピン(カップ)に最も近いショットを指すコンペ形式。
語源: 英語の「near(近い)」+「pin(旗)」。
は行
バウンズバック
意味:ゴルフにおいて、前のホールでスコアを崩した(例: ボギーやダブルボギーなど)直後のホールでスコアを取り戻し、良い成績(例: パーやバーディー)を達成することを指します。
例:
「7番ホールでダブルボギーを叩いたけど、次の8番ホールでバーディーを取ってバウンズバックした!」
- 使われ方:
プレー中やラウンド後の振り返りで、「切り替えの速さ」や「精神的な強さ」を褒める際に使われることが多いです。
語源
- 英単語由来:
「バウンズ(Bounce)」は「跳ね返る」や「弾む」、「バック(Back)」は「戻る」を意味します。この組み合わせにより、「悪い結果から跳ね返って取り戻す」というニュアンスが生まれました。 - スポーツ全般の用語としての起源:
「バウンズバック」という表現はゴルフだけでなく、他のスポーツ(例: 野球やバスケットボール)でも使われてきました。特にアスリートのメンタルやリカバリー能力を評価する際に用いられる言葉です。 - ゴルフ特有の使い方:
ゴルフでは各ホールごとにスコアが独立しており、悪いショットやホールの結果がその後のプレーに影響を与えやすいスポーツです。そのため、精神的に立て直す力を強調する言葉として「バウンズバック」が浸透したと考えられます。
バーディ(Birdie)
意味: 規定打数より1打少ないスコア。
語源: アメリカのスラングで「鳥(bird)」が「素晴らしいもの」という意味で使われていたことから来ています。
1903年、ニュージャージー州のゴルフコースで、あるプレイヤーが見事なショットを放った際に「That was a bird of a shot!(素晴らしいショットだ!)」と言われたのが始まりとされています。その後、バーディ(birdie)という用語がゴルフ界に定着しました。
パー(Par)
意味: コースの規定打数どおりにホールを終えるスコア。
語源: ラテン語の「par(等しい)」から派生。
ゴルフ用語としては、19世紀後半に初めて使われ、プロゴルファーが「平均的な打数」を指す言葉として採用しました。
バンカー
意味: 砂で埋められた障害地帯。
語源: スコットランド語で「土塁」を意味する言葉に由来。
フェード(Fade)/ドロー(Draw)
意味:フェード: ボールが右利きの場合、右に軽く曲がるショット。
ドロー: 右利きの場合、左に軽く曲がるショット。
語源:「Fade(薄れる)」や「Draw(引き寄せる)」という英語の単語からきています。それぞれ、ボールの飛び方がイメージに合うため名付けられました。
プレショットルーティン(Pre-shot Routine)
意味:ショットを打つ前に行う準備動作や手順のこと。アドレスや素振りなどが含まれます。
語源:「Pre-shot(ショット前)」と「Routine(日課や手順)」を組み合わせた言葉です。
ボギー(Bogey)
意味: 規定打数(パー)より1打多いスコア。
語源: イギリス発祥で、「ボギーマン(Bogey Man、幽霊やおばけのような存在)」が由来です。
19世紀のゴルフ競技では、プレイヤーが「ボギーマン(パーに相当)」に挑戦する形で競技が行われていました。そこから「ボギー」という名前が、規定打数を超えたスコアを意味するようになりました。
ま行
マリガン
意味:ゴルフの非公式ルールとして、最初のショット(主にティーショット)が失敗した際に、ペナルティなしで再度打ち直すことを指します。
※正式な競技ルールには含まれておらず、友人同士のプレーやカジュアルなラウンドで使われることが多い用語です。
使われ方:
「今日は初ラウンドだから、1回だけマリガンを許してね!」のように、寛容なプレー環境を作るために利用されます。
マリガンの語源
マリガンの語源にはいくつかの説がありますが、共通しているのは「誰かの名前に由来している」という点です。以下はその代表的な説です:
1. デイヴィッド・マリガン(David Mulligan)説
概要:1920年代、カナダのゴルフクラブ「セント・ラウレンス・ゴルフクラブ」のメンバーだったデイヴィッド・マリガンという人物が、プレー中にティーショットを打ち直したのが始まりとされています。
デイヴィッドはその後、同じクラブの仲間たちに「マリガン」という言葉を広めたと言われています。
背景エピソード:
一説には、ラウンドに遅刻してしまい、練習なしでプレーを始めたデイヴィッドが「最初のショットは練習代わりだ!」と言って打ち直したことがきっかけとも言われています。
2. 地元のゴルファー「マリガン」説
概要:別の説では、ニュージャージー州のゴルフ場でプレーしていた地元のゴルファー「マリガン」という名前の男性が、ティーショットをやり直したいとお願いし、それが慣例化したという話です。
彼の仲間たちがその行為を「マリガン」と呼ぶようになり、次第に広まったと言われています。
3. ケルト語起源説
概要:「マリガン」という言葉がアイルランドやスコットランドのケルト語に由来し、「厳しい状況をやり直す」というニュアンスを持っている可能性も指摘されています。ゴルフがスコットランド発祥であることを考えると、文化的な影響も含まれているのかもしれません。
マリガンの魅力と注意点
「マリガン」はカジュアルなプレーにおいて、リラックスした雰囲気を作るための良いルールですが、公式な競技やトーナメントでは認められていません。友人や同僚とのラウンドで楽しみながら、プレッシャーを和らげる手段として取り入れるのが一般的です。
メダルプレー
意味: スコアの合計で競うプレースタイル。
語源: 勝者にメダルを贈ることから。
や行
ヤード
意味: コースの長さを測る単位。
語源: 古英語の「gierd(棒)」。
ユーティリティ
意味: アイアンとウッドの中間的な特性を持つクラブ。
語源: 英語の「utility(実用性)」から。
ら行
ライ(Lie)
意味:ボールが置かれている状況や状態を指します。例えば、芝が深いラフにボールが沈んでいる場合は「悪いライ」と表現されます。
語源:英語の「Lie(横たわる)」に由来します。ボールの「寝ている」状況を表す言葉です。
ラウンド
意味: コースを1周回ること。
語源: 英語の「round(回る、巡る)」。
リカバリー
意味: ミスショットから良い状況に戻すショット。
語源: 英語の「recovery(回復)」。
わ行
ワンオン
意味: 1打でグリーンに乗せること。
語源: 「one(1)」+「on(乗る)」。
ワンパット
意味: グリーン上で1回のパットでカップインすること。
語源: 「one(1)」+「putt(パット)」。
<まとめ>
語源を知るとゴルフがもっと面白くなる!
ゴルフ用語には、それぞれ深い歴史や背景があります。語源を知ることで、ゴルフへの理解が深まり、会話の幅も広がります。ぜひこの記事を参考にして、ゴルフの魅力をさらに感じてください!